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青島デザインの学校Vol.1 終了レポート

公開:2016年3月6日

2016年1月31日(日)に開催された『青島デザインの学校Vol.1 イメージをカタチにする、映像とデザインのチカラ
当日は80名を越す参加者で大盛況!

10時から18時という長丁場でしたがみなさん、楽しんでいただけたようです。

会場は能楽堂!

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会場は青島にある能楽堂で行われました。

青島に能楽堂があるってご存知ない方も多いみたいで、イベントの内容もさることながら会場の雰囲気に興味津々の方も多かったようです。

じつはここ、正式には「青島神社儀式殿」といって、文字通り青島神社が執り行うさまざまな儀式や行事、イベントなどが行われています。

南九州にある常設の能楽堂としては唯一ということで、もちろん能もおこなわれています。なんとNHK交響楽団のクラシックコンサートも行われたことがあるとか!

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そんな能楽堂も、素敵な「青島のデザイン」のひとつですよね。

Vol.1は映像がテーマ

さて、今回のVol.1は『イメージをカタチにする、映像とデザインのチカラ』をテーマに、今もっとも注目を集めている『映像』にフォーカスし、作るための技術やアイデアの思考法を学んでいただきました。

以下、イベント告知サイトから引用

今もっとも注目を集めている「動画コンテンツ」

企業や地域の情報発信としてはもちろんですが、スマートフォンやデジカメの普及により、個人でも気軽に動画を扱えるようになりました。

InstagramやYou Tube、FacebookなどのSNSと組み合わせることにより、発信することもより容易になっています。

とはいえ、優れた動画コンテンツには必ずなにかしらの世界観が存在しています。

その世界観を軸に、ストーリーが練りこまれ、もっとも適した場所や時間、技術で撮影する。
そうすることで本当に伝わる映像が作られます。

撮影する、発信することは容易になりましたが、伝えたい世界観はなにか?

その世界観をきちんと表現できているのか?

映像がチカラを持つ時代だからこそ考えてみたいテーマではありませんか?

そこで今回の「青島デザインの学校 Vol.1」では、魅力ある青島を発信するための一つの手段として「動画」を取り上げます。

プロの映像クリエイターを招聘し、クリエイティブな視点を参加者と共有することで、まず「青島」の魅力を再発見する。

そして、プロのクリエイターの「作る技術」を共有することで、「魅力的な青島」をだれでも発信できるようにする。

口コミが重視される時代に、大上段に「啓発」するのではなく、住民自身が積極的に考えて発信するための手助けになるために企画しました。

先生は日本アカデミー賞最優秀編集賞受賞!の大関 泰幸さん

先生は、椎名林檎やGRAPEVINE、マキシマムザホルモン、YOUR SONG IS GOODなど数多くのMVを送り出している映像作家である大関泰幸さんにお越しいただきました。

なんと、うれしいことにイベント開催直前に映画『バクマン。』で日本アカデミー賞優秀編集賞、その後最優秀編集賞を受賞されました! おめでとうございます!

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大関 泰幸さん プロフィール

大学卒業後から椎名林檎、GRAPEVINE、マキシマム ザ ホルモン、YOUR SONG IS GOODなどMUSIC VIDEOを中心に数々の映像作品を演出し、近年は映画「バクマン。」「DENKI GROOVE THE MOVIE ?」「恋の渦」の編集も手がけている。

http://www.yasuyukiozeki.com/


そして、メイントーク&モデレーターにWebプロデューサー、ディレクターの安藤 直紀さんをお迎えし『自分だけのダンスを踊ろう~好きなことからはじめる共同体の作り方』と題して「デザインの延長上にある小さな共同体の作り方」をテーマに講演をしていただきました。

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安藤 直紀さん プロフィール

ARCHIT代表/WebSig24/7モデレーター
90年代から音楽レーベル運営やファンジン作成を行い、 2008年よりフリーランスWebプロデューサー、ディレクターとして活動を開始。

Webサイトの構築運用プロモーションから、社員教育、書籍執筆など幅広く手掛ける。「俺たちのためのラジオ番組を作る」と勘違いして意気込み、Tokyo Unlearned FMという音楽ポッドキャストも更新中。

[レポート:セッション1]自分だけのダンスを踊ろう~好きなことからはじめる共同体の作り方(安藤 直紀氏さんトーク)

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セッション1は安藤直紀さんの講演。

ないものは自分で作る! そしてそこから得られた知見とは?

自身の音楽(パンクロック)好きが転じて、ないものは自分で作る! を実践してきた安藤さん。
具体的には、以下のような活動をされてきたそうです。

  • 読みたい雑誌がない! なら自分で作る→ZIneの制作
  • 見たいバンドが来日しない! なら呼ぼう!→海外アーティストの招聘
  • 仲間のかっこいい音楽をみんなに聞かせたい!→音楽レーベルの運営

好きなことからはじめよう

そんな安藤さんですが、自身の生い立ちや好きな音楽での体験を元に、
「好きなことを仕事にしてもしなくても、どこにいても、思いの似通った仲間が生まれ大きなうねりを作ることができる」
「自分の人生をコントロールすること」
「身の回りをかっこいいもので溢れさせる方法」
そして、それが現代においては仕事にも影響を与える価値観になりつつあることを紹介。

また時代背景としても会社や組織、国家までも脱中央集権化へと進んでいて、自立の時代になるだろうと予測。そんななかで「一人ひとりが自分の好きを猛進する。そうすることでまわりが面白がって仲間が増えていく。やがて自分の身の回りを好きな人やカッコいいもので溢れさせることができる」と話していて、たしかにそうだなぁ、自分の好きを極めてる人ほど面白いし、人が集まってくる、そういう時代になってきているなと思いながら聞いていました。

一人が0.1余計に頑張ると大きな動きになる

印象的だったのは「一人が0.1余計に頑張ると大きな動きになる」ということ。

そうすることで、与えられたり、押し付けられたものではなく
「自分の好きがあふれた人生を送ることができる、自分の人生を自分でコントロールできるようになる」
と話され、最後に、まとめとして以下のメッセージで締めくくっていただきました。

  • 自分でカッコいいものを作る時代に
  • カッコいいものは自分の「好き」から生まれる
  • 天の恵みを、誰かの後押しを待たない
  • 自信を持って自分の踊りを踊ろう
  • あなたの「カッコいい」を形を見せびらかそう

これからは「地域の時代」になる。その上で自分たちの手で自分たちの地域を作っていく。
そのための知見が少しでも得られたのでないでしょうか。

[レポート:セッション2]
あなたの映像の見方が変わる! MVを通じて思いを映像表現に落とし込む方法を学ぼう!(大関 泰幸さん トーク&ワークショップ)

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続いては、大関さんトーク&ワークショップ。

大関さんが携わったミュージックビデオを観ながら、どのようにアイデアを生み出したのか? どうやって作ったのか? をお聞きする時間です。

MV制作の裏側から紐解く魅力的な映像表現とは?

椎名林檎やGRAPEVINE、マキシマムザホルモン、YOUR SONG IS GOOD、イルリメなど、数多くのアーティストのMVを作ってきた大関さん。

実際の絵コンテや、撮影の裏側など、興味深い話がたくさん!

意外だったのは、難しい撮影技法や技術はそんなに使ってない作品も多いこと。

アイデアと世界観がきちんと構築できれば高度な技術が必要なくても、伝わる映像作品になると語っていました。

参加者の反応でも
「びっくりしたのは凝った技術は使ってないんですね。でも出来上がる映像は斬新だったり驚きを感じたり琴線に触れたりと素晴らしいと思いました。技術は必要に応じて用意すればいいんですよね。」と。

自分たちでもできる場所と物と舞台があるのに、「プロの視点」ってのがちょっと加わるだけで、こうなるんだ! ってのが他の方の反応見ても、凄く伝わりやすいようでした。

世界観が大事

そしてその世界観の作り方ですが、ミュージックビデオの場合はやはり曲をとことんまで聞きこみ、歌詞をなんどもなんども反芻し、その時点で世界で一番その曲が好きと言えるまで掘り下げるそうです。

また、ミュージックビデオではなく、どんなモノでもコトでも、とことん好きになることが大事だし、好きになれる人は強いとのこと。

好きになることによって気づくことがあり、それが世界観に繋がるという話をしていました。

撮影技法について

撮影技法については、大関さんが得意とする「ワンカメ」「ワンカット」について解説していただきました。
同じ技法を使った海外のアーティストのMVや自身の作品などを観ながらの解説はわかりやすく、イルリメの『トリミング』を観ながらの解説では「アイデアと行動力があればお金がなくてもできる」という大関さんの言葉が印象的でした。

イルリメ『トリミング』MV

最後に大関さんの信念として、以下が紹介され前半のトークセッションは終わりました。

  • PVの仕事は、歌を聞かせるためのものなので、 背景に記号は要らない
  • 逆に言えば伝えたいものが映像や思いならば、 映像の中にその記号を様々な形で含めるべき
  • 他の人がやっていないことをやる
  • 思いをシナリオにどう落とすか、物語を描くことが大事
  • 最後まで見てもらう工夫を

トークのあとはワークショップ

さて、トークも盛り上がったところで、続いてはワークショップの時間です。

ワークショップでは実際の映像撮影や編集はすこし難しく無理があるということで「場所」にしぼってみようということになりました。
大関さんいわく「場所」は重要な要素の一つなのでロケハンにも気を使うとのこと。

そこでワークショップでは「青島のPVを作ると仮定して、そのロケハンに行ってみよう」というテーマで、能楽堂を出て参加者おのおので1時間ほど「ロケハン」をしようということになりました。

今回は実際のロケハンでも行われているように、候補となる場所を写真に撮っていただき、それを大関さんに見ていただくという形をとりました。

それぞれ「ここはいい画が撮れそう」「ここでPV撮影したら面白そう」そして青島らしいところをテーマに写真を撮り、それをInstagram、Twitter、メール等で共有していただきました。

※ロケハンとは?

ロケハンとは英語の”Location hunting(ロケーション・ハンティング)”を略した映画業界の言葉である。ロケ(ーション)の訳は場所、野外撮影、ロケ地(撮影する場所)で、それをハンティング(捜す)ということから、ロケ地を捜すというのがロケハンの本来の意味である。
ただし、TV番組のコメントなどで聞かれるロケハンはロケ班と書き、「ロケ(撮影)をする人たち」という意味で使われていることが多い。

引用:ロケハン(ろけはん) – 日本語俗語辞書

写真をみんなで講評

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ロケハンも終わり、インスタやメールでどんどん写真が集まってきました。

「ロケハン」というテーマ自体が少し難しかったですが、あえて青島らしくない? ところなど、普段目にしない景色や気づかなった場所を知ることができました。

また大関さんへの質問などもあり、大いに盛り上がりました。

インスタにアップされた写真の一部

Tommyさん(@tommy65577)が投稿した写真

@misery501が投稿した写真

最後に

今回「映像がチカラを持つ時代だからこそ考えてみたいテーマ」として映像を取り上げてみましたが、いかがでしたでしょうか?

また「好きだからこそできること」も実はたくさんあります。
自分の思いとそれをカタチにすること。そして発信すること。これらがミックスできれば最高ですよね?

そして、それはプロフェッショナルだけのものじゃない、自分たちでもできるということを今回のイベントをとおして伝えたかったことでもあります。

青島をもっともっと魅力的にしたい! 発信したい!
その思いを込めてまたみなさんと学んでいけたらいいなぁと思います。